観用少女2007/03/05 21:36

 川原由美子さんの「観用少女」(プランツガール)のハードカバーの下巻がやっと発売になった。手元にずっと置きたいので待ちこがれていました。
 川原さんの作品はデビュー初期から読んでいるのですが、この作品が自分の中で一番好きな作品で、一番川原由美子らしい作品だと思っています。最初に出会った作品は「気まぐれ四銃士」で気になり始めたのは「KNOCK!」だったかな?
 吉田秋生の「カルフォルニア物語」と共に、中学時代熱中して読んでいたマンガだった。小学校6年生ぐらいまでマンガを読んだことがほとんど無かった(TVアニメはよく見ていたけど、子供向けの小説ばかり読んでいた。家に、親戚から譲ってもらった児童文学全集とかたくさんあったから、それで事足りていた)ので、はまったら完全に熱中していた。少年マンガは中学で「うる星やつら」、「めぞん一刻」と高橋留美子にはまるまではそれほど熱中する物がなかったけど、少女マンガは川原由美子さんと吉田秋生さんに続いて柴田昌宏さん、和田慎二さん、瓜生ゆみこさん、佐々木淳子さん、わかつきめぐみさん、岡野史佳さん、日渡早紀さん、竹宮恵子さん、山口美由紀さん、柳原望等と順当にはまっていった記憶がある。当時、少年マンガがスポコンかラブコメがメインだったのに、少女マンガは主人公の等身大の苦悩を軸にした純文学に近い表現が多かったのだと思う。少年マンガでそれをやろうとすると下手すると劇画かビックコミックの様な大人向けのマンガ雑誌に掲載される作品になってしまうことが多かったのではないだろうか?
 その中でも川原由美子さんはSF的表現でもなければ壮大なスポーツでもなく、ちょっとコミカルだけど等身大の主人公を丁寧に描いていた。
 最近の少年マンガがやっとその場所に近づきつつあると同時に、初期の高橋留美子さんが確立した「きれいなおねえちゃんが身近に沢山いてにぎやか(うる星やつら)」か「局所的に狭い生活環境に雑多な登場人物をおいて閉鎖した空間を作る(めぞん一刻)」と言うパターンが現在も「ああ女神様」や「らぶひな」に面々と続いているのが少年マンガの限界ではないだろうか?そこからはみ出していった少年マンガが少女マンガと融合して「ヤングキングアワーズ」や「コミックガンマ」(竹書房から1990年代に出てたヤツなどのニューウェーブに進んでいった気がする。
 川原由美子さんはその中でもあくまで少女マンガのスタイルにこだわりつつ、人間観察とその描写をとことんまで突き詰めていって「観用少女」で極限まで昇華させた気がする。マンガとつきあってきて30年近くが立ちますが、最近、「長く読んでいて良かった」と思える作品に出会えることがあって、これが人生の楽しみの一つなのだと感じるようになりました。
 単に歳を取っただけか?